─接触2

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「つれないな」

唇を撫でられた。

「・・・ん」

キスをねだられる。

顔を背けると潤からキスをしてきた。

「発情期」

パカンと頭を叩く。

潤は叩かれた所を押さえながら口許を緩ませた。

「何で嘘なんか吐いたんだよ、告白のこと」

今までこんなことなかったのに。
訊かれれば素直に答えていた。

というか答える前からいつ誰が何処で想いを伝えていたのか筒抜けであった。

だから今回もクラスメイト達の予想は外れていなかったわけだ。

まぁ誰彼構わずに呼び出しをくらうのは校内でもこいつかその先輩しかいないけど。

「朔馬に知られたくなかったから」
「は?」

今更じゃないか。

潤は俺の肩に額を当てて寄りかかる。

「呆れたりしないでね。俺だってもうたくさんなんだ」

甘えた声で呟いた。



5時半になるとカウンターにいた図書委員に閉館であることを伝えられた。

本を所定の棚に戻し荷物をまとめて図書室を出た。

明日の古典の予習を終わらせることが出来たと潤は大満足で廊下を歩く。

まだ5時半か。
6時にならないと郁美はいなくならないのに。

廊下の窓から外を見る。
ここからじゃ校門が見えない。

あぁ帰りたくない。

「朔馬」

話に集中していなかった為に名前を呼ばれた。

「え?」
「・・・最近元気ないね。どうかしたの?」
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