→素直

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首筋は汗で湿っていた。

その手が下に滑る。

心臓の上。

「俺も触って欲しい」

心臓が激しく脈打っている。

いつも平然としている彼には意外な脈打ちであった。

俺が口を開けたまま呆けていると拓は笑みを作った。

「平気に見えた?いつもこんなにどきどきしてるのに」
「だって顔に出ないから・・・」

拓は俺の前髪を掻き分ける。

「強がってるだけ」

額にキスをした。

カァッと顔が熱くなる。

受け身の態勢が出来ていないから恥ずかしい。

手の位置が右に持っていかれる。

「もうここ、してくれないの?」

記憶が鮮明に蘇る。

「な、何のこと」

嘘だ。
覚えている。

拓は意地悪そうに笑って耳元で囁いた。

「舐めてくれたでしょ?」

自分がした行いを掘り起こされて体が熱くなった。

拓が吐いた言葉全て覚えている。

あまりにも刺激的で鮮明に刻まれた記憶であった。

しどろもどろになっているとふわりと頬に手が触れ、唇を奪われた。

体に力が入って胸に当てられた手でシャツを握る。



くぐもった声に慌てて手を放した。
敏感な部分に触れてしまったらしい。
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