→素直

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「・・・チーズケーキ食べたくない?」

俺と出かけたいのかな。

「うん、行こうか」
「うん!鞄持ってくるね」

拓は足早に教室に戻っていった。

後ろからずっと見ていた中尾はあごを撫でながら首を傾げる。

「梅田ってあんなキャラだった?」

やはり誰が見ても拓海らしくない。

「あれは拓海じゃないから」
「は?いつにも増して意味不明だぞ、お前」

分からなくてもいい。

俺が拓の気持ちを分かってあげたら彼はそれでいいのだ。

拓が言っていたケーキ屋は学校の側の店であった。
個人経営で人の出入りは少ない。

俺達が店に入った時には客は1人もいなかった。

小さいカフェスペースがあってそこでケーキを食べた。

俺がチーズケーキを頼むと拓も同じものを頼んだ。

そういう所は拓海と一緒で戸惑う。



家の前で自転車を降りると拓はすぐに俺を引き止めた。

「圭ちゃん、キスして」

頬に唇を押し付けた。

再びルールを作った。
前と同様、俺から拓にキスをし、その代わり体を繋ぐ強要はしない。

拓は物足りない、と口を薄く開いて腕を掴む。

シャツを引っ張られて首が下がった。

ちゅっとキスをされる。

「充電させて」

腹に抱きついて顔を埋めた。

拓は素直だった。

愛情表現が上手くて、甘えるのも上手い。
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