黒子のバスケ book
□始まりの予感
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「青峰っち!1on1するっス!!」
最近バスケ部に入ってきた奴。
その名も、黄瀬涼太。
入ってきた当初から
何かと俺に付きまとってくる。
前に、理由を聞いたことがあった。
『そりゃ・・・強いからっスよ』
そしたら、こう答えた。
・・・変な奴。
「・・・いいぜ」
・・・別にコイツと1on1するのは
嫌いじゃねーから、いいけど。
でもな・・・
*
「あーっ!また負けたっス!!」
負けるって分かってるってーのに。
毎回しぶといってゆーか・・・
「・・・やっぱ青峰っち強いっスわ・・・」
「・・・俺に勝つなんざ、まだはえーよ」
汗だくになったTシャツを脱ぎ捨てる。
・・・この感触は嫌いだ。
すると、黄瀬も脱ぐ。
やっぱり汗臭いのは気になるか・・・
「・・・黄瀬」
「ん?何スか?」
男にしては白い肌、
細身の筋肉のついた体。
・・・俺とは正反対だな。
「・・・お前、もっと食え。細すぎ」
俺が言うと、黄瀬がふき出した。
「・・・俺、モデルっスよ?
太ったらやってけないっス!!」
・・・そういや、そうだったな。
「・・・お前モデルって感じしねーよ」
「・・・あ。言ったっスね」
急に黄瀬の目つきが変わる。
「・・・これ見ても、そう言えるっスか?」
すると、
俺が見たことの無い黄瀬がそこにいた。
射抜くような眼差し。
汗さえも、自分を見せる道具になる。
「・・・モデル、みたいだ」
「みたいな、じゃなくて本職っスよ・・・」
なんだか、一瞬。
・・・本当に一瞬だけ、
キレイだって思った。
同じ男でもそう思えるくらいに。
・・・でも、俺は。
「・・・普段のお前の方が、好きだ」
「え!・・・
何言ってんスか!?青峰っち!!」
見慣れてるお前の方がいいっつーか・・・
俺は黄瀬に近づき、
「・・・そのままでいろよ」
耳元で言ってやった。
「・・・あ・・・・」
黄瀬の顔が真っ赤になってる。
何か・・・かわ・・・・・・
・・・・・・くそ。
「・・・帰んぞ」
「あ・・・待ってっス!!」
・・・ちくしょう。黄瀬のせいだ。
あんな表情しやがって。
・・・可愛い、とか
思っちまったじゃねーか。
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