STAR DRIVFR 輝きのタクト ”Φ(ファイ・神)のシルシを持つ者”

□T 『転生・誕生』
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日本のある街に存在する総合病院で今、1つの生命が誕生しようとしていた。
病院内にある分娩室の前に1人の男性と看護婦がいて、男の方は設けられてはいた長イスに座って、今か今かと貧乏揺すりをしていた。



「コバヤシさん、もう少しで生まれると思うんで待っててあげ てください。」



“コバヤシさん"と呼ばれた男性と看護師の会話があってから、数十分経つと分娩室の中から元気な赤ちゃんの泣き声が 聞こえてきた。



『おぎゃあ!!おぎゃあ!!』

「コバヤシさん、おめでとうございます。
元気な男の子が産まれましたよ。」



赤ちゃんの泣き声が聞こえて直ぐに、分娩室の中にいた看護師さんが報告しに出てきてくれた。



「そうですか、ありがとうございます。」



そう言って、男性は病室に入っていくとベットに横になっている妻だと思われる女性とその横で気持ち良さそうにぐっすり眠っている赤ちゃんがいた。



「あなた…、私がんばって産んだわよ。」

「あぁ、お疲れさま。」

『あぅ〜、あぅ〜』

「あら、ごめんなさい。起こしてしまったわね。よしよし」


(この人達が、この世界でのお母さんとお父さんか。)


「そういえばあなた、子の名前考えてきてくれたの?」

「ああ、ちゃんと考えてきたぞ。」


名前か…どんなんだろう?


「この子の名前はマサユキ。コバヤシ・コバヤシだよ。ママ。」

「マサユキか…良い名前ね。」

「そうだろ。」

『あぅ〜、あぅ〜』

「あっ!マ、ママ今の見た!?マサユキが僕の方を向いて微笑んでくれたよ!」

「や〜ね〜、貴方そんなことぐらいではしゃいじゃって。でもねあなた、見てたのは、あなたじゃなくて、私の方を見てたのよ。ねぇ〜」


(なんだこの2人は。目の前に自分たちの子どもがいるというのに、放置してイチャイチャするのか!?)


「あ、そうだ。あなた…」

「うん。」

「「マサユキ、私たちの間に生まれてきてくれてありがとう。そして、これからよろしくね、マサユキ。」」

『あぅ〜、あぅ〜(これからよろしくね、父さん、母さん。)』


俺はそう思いながら意識を手放した。








──────────────









俺が生まれてから数年の月日が経ち、俺は地元の小学校に通っている。
そんなある日、俺は父さん、母さんに伝えたいことがあり、いつもより急いで家に帰っていた。


『ただいまー!』


俺は大きな声で叫んだが家の中から返事が返ってこなかった。
俺は可笑しいと思い、急いで居間に駆け込んだが、そこで見た光景は俺を絶望に陥れるものだった。
何故なら、父さんと母さんが血と思われる紅い液体の上に転がっていたのだから。
俺は事態を把握すると、居間の机の上に俺宛の封筒があるのを見つけた。その中には、父さんが書いたと思う1通の手紙と、母さんがいつも首からぶら下げていたペンダントが入っていた。



手紙の内容はこのようなものだった。
「マサユキへ
マサユキがこの手紙を読んでいるとしたら、お父さんとお母さんは死んでいるんだろう。
まだお前は小学生だから不安なことがたくさん有るだろうが心配はするな。
俺達の家系の遠い知り合いの人にもしもの事があったときのために話をしてある。
この手紙の裏に書いてある住所のところに行って、この手紙を渡せ。
そしたら、お前を引き取ってもらうよう頼んであるから。


あと、お前には俺達の家系の話をしないといけない。
父さんと母さんの家系はここ南十字島では遥か昔から存在する由緒正しき名家だ。そして、その中でも俺の家系は特殊かつ厄介だ。この島では昔から印と呼ばれる不思議な力が存在する。まだ小学生のお前に印とせの責任を押し付けるみたいですまないが父さんと母さんを許してくれ。
最後に印の力を誤った方向に使わないでくれ。頼んだぞ。

父:智也,母:由依より」

俺は手紙を読み終えたあと母さんのペンダントをズボンのポケットに入れ、早速荷造りをして手紙の裏面に書かれてある住所に向かった。
小学生の友達に別れを告げずに。
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