転生・成り代わり

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涙を堪えていると、レッドさんに抱きしめられた。

なんか今までと比べて凄く安心する。
だからだろうか、涙がポロリとこぼれた。
そしたら


ペロ


は?
今何が起こったの?

ペロって何さ。
ってか何でレッドさんは満足気なんだ。
吃驚しすぎて涙も止まっちゃたよ。

そしたらフッと笑って
「名無は笑ってた方がいい。」



やだ
今キュンとしちゃった。











レッドside

誰かに揺さぶられているのに気づいて目を覚ますと、驚く光景が目の前にあった。

自分の前にはまだまだ幼さが目立つ女の子。
その子の頬はほんのりとピンクに染まっていてぽちゃぽちゃしていた、そして大きな茶色のつぶらな瞳。

すぐに気づいた。
この子はピカチュウだと。


心の何処かで密かに願っていた。
この子が人間になればいい、と。

それが今叶ったのだ。

だから抱きしめた。
そして、つい呟いてしまった。すこしばかり狂気を孕んで「離さない」と。

その瞬間。
彼女がわずかに反応した。

すぐに失敗したと思った。
だからこそ、すぐさま元の表情に戻し、いかにも心配で堪らなかったフリをした。


必死に言葉を探す彼女が愛しくて堪らない。
沈黙に耐えられなくなったのか、自分のことが気持ち悪くないのかと尋ねてきた。

そんなことを思う筈がないのに。
むしろオレはコレを望んでいた。


次に人間時に呼ぶ名前を決めよう、ということになって。
その間も彼女は必死に考えていた。(カワイイ)←オイ

ああ、いけない。ちゃんと考えなくては。

ふと、思い浮かんだ。
名無という名が。

その名前にしようと言うと、彼女は戸惑いながらも嬉しそうにしていた。

ああ、これが君の本当の名前である真名なんだと。




君は知らないのだろう。
真名を教えるということがどういうことなのか。


でも
それでいい。

寧ろそのまま知らないままでいて。



そしたら
本当にずっと、永遠に一緒にいれるから。



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