長編

□運命
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その頃、武蔵の国ではいつもの変わらない平穏な一日が始まっていた。




楓は切らした薬草を取りに行くぞと声を掛ければ村の童達が走り回りながら着いて来る。




「楓様、今日は何の薬草?」




「今日はお前たちが怪我をした時に塗る膏薬を採りに行くのだよ」



「わーい!これで俺たちもっと怪我しても大丈夫なんだね!」




「やったーー!」




子供達が追いかけっこを始め楓を追い越して行った。少し歩くと何処からか柔らかな風が吹いた。











(ここは…)





大きく太い命を表すような御神木には封印された赤い衣の半妖がまだ目を覚まさず眠っている。

今まで何回ここを通りがかった事か。


しかし、いつも通る度に思い出すお姉様の姿…




此奴…此奴のせいでお姉様は命を落とした。

そして村人達を裏切った。





「…永遠に眠っておれ犬夜叉」




その穏やかに眠る顔に一瞥くれてやると楓は歩を進めた。










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