長編

□夢幻
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紫花はいつもの、変わりの無い日常を過ごしていた。


夕日が落ちる頃に学校が終わり、友達とたわいない話をしてから別れた。もう辺りは暗く、近くの家からは夕ご飯の匂いがあちこちから漂っている。カレーの匂い、煮物の匂い…




「今日の夜はどうしようかな…あ、そうだ冷蔵庫にもうシチュー作ってたんだった.。ラッキー」



周りに誰も居ないのを確認するとニコッと笑い、小さくスキップしながら家に向かった。





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家に着くと大分疲れが出て来たようだった。

制服を脱ぎ、夕飯を食べる前に風呂に入る事にした。今日もなんだかんだ言って沢山勉強して動いて、色々考えたから。

それに何と言っても紫花はお風呂が大好きで、何時間でもいられるほど湯に浸かっていられる。




テレビを見て時間を潰し、湯が溜まった頃にドアを開ければ、温かい湯気が紫花の顔を湿らせた。





「入浴剤はどれにしようかなー」





入浴剤が沢山入っている戸棚に手を伸ばした瞬間、心臓が嫌な鼓動を大きく一度打った。





(何…今の……)
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