長編
□夢幻
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何があったのかは誰も知る由もない。最後の瞬間を見た者は誰もいないのだー
一人で家にいた紫花の行き先は誰もわからずじまいのまま、闇に消えてしまった。
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ー紫花は普通の女子高生だった。底抜けに優しいと評判で友達も沢山持ち、心以上に優しい笑顔でよく笑う子だった。
そして、紫花はクリスチャンだ。神様を信じ、自分を創って愛してくれている神の為にいつも自分の生きている使命を探していた。
何故生きているのか?
何処に行くべきなのか?
誰と運命を共にしてこの世を去るのか?
クリスチャンになってから、いつもそれが頭にあった。自分は何か大きいものの為に生きている気がしてならなかった。
その思いが他の子と差を明らかにつけていた。着飾り、恋をし、好き放題している連中とはまるで違う。
どこか少し思いに沈んだ、優しい少女が紫花だった。