長編
□運命
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「…殺生丸様、そろそろ降りま……何でもありません何でも!」
日が暮れようとしていた。
大きな陽が落ちるのはいつ見ても壮大な光景である。
殺生丸の金色の目の中に太陽の光が混ざり、神々しい色に見える。
邪見は下を何気なく見下ろすと、ヒッと声を漏らした。
そこまで高く飛んでる様子は無かったのだが、地表は遥か遥か遠く…もしかしたらここは地表が下に下がっているのかもしれない。大分長いと思われる川ですら、ここから見れば極細の線でしかない。
(恐ろしや…絶対放すもんか!)
邪見は目を瞑ると殺生丸の毛束をギュッとつかんだ。
「邪見…降りるぞ」
殺生丸は地平線から徐々に見え始めた輝く湖面を見ると下降し始める…
(竜雹湖…)
大きな湖の真ん中には小さな島があり、巨大な松の木が生えている。