銀魂*story
□罪人
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「…………」
笠を深く被り、俺は人と人とを潜り抜けながら、道を通った。
「…………」
俺は罪人だ。
毎夜のように銀時と重なり、熱い吐息を洩らし、ついには一つになる。
銀時は、俺を強く想ってくれている。
あんな奴だが──いつも想ってくれている。
だが──俺は違う。
俺は──銀時のことを想っていない…。
想っていると、嘘をついている…。
俺は──
俺は…
高杉晋助が好きなんだ…。
銀時はきっと──俺の本当の気持ちに気づいていない。
「…………」
その日はただ──町中をひたすら歩き続けた自分がいた。
「…………」
気がつけば──陽は傾き、綺麗な満月が夜空を照らしていた。
「…………」
誰もいない草原に、俺は腰を下ろした。
月を見ると──思い出す。
あのときの出来事を…。
まだ昔──攘夷戦争をしていた時代だった。
*