ヒカルの碁*story
□互いを想う気持ち
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「ちぇっ…また負けたよ」
不満の声を洩らし、頭の後ろで手を組んだ進藤を見て、僕は小さく笑みを浮かべた。
「でも進藤、ここはいい手だったよ」
「え、そうか?
ははっ塔矢にそう言われたら素直に嬉しいよ」
「──///」
進藤が笑顔を見せる度に──僕の鼓動はトクンと音をたてる。
「──や…塔矢…!」
「え…?」
「どうかしたのかよ。大丈夫か?」
「あぁ。悪い。少し考え事をしていたんだ」
まさか進藤のことを考えていただなんて言えるわけないと、心の中で苦笑いを浮かべた。
「じゃあそろそろ帰るか」
「そうだね」
碁盤を綺麗に直している最中、進藤はその口を開いた。
*