短編 T

□この道の先
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晴れ渡った空に、腹が立った。





雨が降ればええのに。





苛つきを隠しもせず、空を睨み上げた。

苛々するぜよ。

何もかもが、気に食わん。



香乃を手放せば、

全て元通りになると思うたのに。

香乃を手放して俺が手に入れたもんは、

この苛つきと、

どうしようもない喪失感。










香乃が好きじゃった。

それは今も変わらん。

じゃがそれ以上に、怖かったんじゃ。

香乃が側におると、冷静でいられん。

好きという想いに比例するように、

独占欲も嫉妬も膨れ上がっっていく。




 
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