短編 T

□hesitate
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読みもせん本を開いて

一行どころか、

一文字も読まんままページを捲る。

時折本から眼差しを上げ見る先にある姿に見惚れ。

また本へと視線を落とす。

何度もそれを繰り返しとった。

今日こそ声をかけようと毎回思うとるのに。

いつもここで

本を読むふりをするだけで終わってしまう。










コート上の詐欺師。

悪魔をも騙せる男。










その異名こそが

詐欺じゃろうと言われても仕方ないほど、

俺は恋愛に関しては奥手じゃった。




 
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