短編 T

□転寝彼氏にご注意を
2ページ/7ページ




目が合えば微笑んで。

手を差し伸べて抱き寄せて。

猫のように気紛れだと思っていたニオくんは、

実は淋しがり屋で嫉妬深い。

私が読んでいた雑誌にまで嫉妬するなんて

誰が想像できただろう。










起こさないように細心の注意を払いながら、

転寝しているニオくんに近付いた。

微かに聞こえる寝息。

ソファに座りながら眠るニオくんの前にしゃがみ込み、

そこからニオくんを見上げてみれば

やはり閉じられた瞼。

起きている時は切れ長の鋭い眼差しの彼は、

眠る今は、まるで幼子のように無防備。





付き始めた当初も、私の前で眠ることはあった。

でもこうして近付けば目を覚まし、

眠たげな双眸を優しく和ませて私の頭を撫でてくれていた。









 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ