短編 T
□転寝彼氏にご注意を
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目が合えば微笑んで。
手を差し伸べて抱き寄せて。
猫のように気紛れだと思っていたニオくんは、
実は淋しがり屋で嫉妬深い。
私が読んでいた雑誌にまで嫉妬するなんて
誰が想像できただろう。
起こさないように細心の注意を払いながら、
転寝しているニオくんに近付いた。
微かに聞こえる寝息。
ソファに座りながら眠るニオくんの前にしゃがみ込み、
そこからニオくんを見上げてみれば
やはり閉じられた瞼。
起きている時は切れ長の鋭い眼差しの彼は、
眠る今は、まるで幼子のように無防備。
付き始めた当初も、私の前で眠ることはあった。
でもこうして近付けば目を覚まし、
眠たげな双眸を優しく和ませて私の頭を撫でてくれていた。