短編 T
□いつか振り払うもの
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何で私なんだろう?
ずっと思っていた。
何でニオくんは、私を選んだんだろう?
ずっとずっと気になってて。
それでもずっと聞けないままだった。
平凡な私。
平凡じゃないニオくん。
もっと
ニオくんに釣り合う女の子は沢山いるのに。
「こーら、俯きなさんな」
考え事をしていたら、
繋いだ手を軽く揺すりながら、ニオくんが言った。
見上げると、優しい薄茶色の双眸。
「どうしたと?」
薄茶色の双眸に、心配の色が滲む。
ニオくんは、優しい。
その上、
付き合うまでは知らなかったけど。
かなりの心配性だ。