幼なじみに恋をしました

□埋めようのないゼロセンチ
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苦笑を浮かべたままの

幸村くんの視線を辿ると。

C組の教室のドアから

こちらに向かってくる仁王くんの姿。





幸村くんと

私の側まで歩いて来て

仁王くんがぴたりと足を止めた。





「幸村、すまん。

 世界史の教科書貸してくれんか」





そうして

最近聞きなれた謝罪の言葉から

仁王くんの要件が始まるのだけれど。





ほら、やっぱり

幸村くんに用事だったじゃない。





そんな思いで幸村くんを見ると

彼は溜息を一つ吐きだした。





「最近忘れ物が酷くないか?」

「すまんの」

「まあ良いけど。

 でも世界史はさっき人に貸したから

 小林さんに借りなよ」

「・・・え?」





突然自分の名前が出たことと
 
仁王くんと幸村くん

二人の視線を受けたことで驚いて

直ぐに返事ができなかった。





幸村くんはにこにこと微笑んでいて

仁王くんは

何故か真顔で私を見下ろしている。





驚きに固まって動けない私に

幸村くんが「駄目かな?」って

小首を傾げて問いかけてくる。




 
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