幼なじみに恋をしました

□もう恋は始まっていた
2ページ/8ページ






凄く懐かしい夢を見た。





ベッドの中で毛布に包まりながら

さっきまで見ていた

夢を思い出していた。





幼い頃に交わした

幼馴染との約束。





あの頃は

意味を知らずに頷いた。





恋も愛も

そんな感情も知らなかった頃の私は

ただ

幼馴染が

笑ってくれるのが嬉しくて

頷いたのだ。





ではいま同じ状況になったら

どう返事するのだろう。





「・・・ありえない」





まだ目覚めたばかりで

舌がうまく動かず

幼子のような

ひどく拙い言葉になった。





あり得ない、と。

私はもう一度

今度は声に出さずに繰り返した。










幼かった頃は

世界は酷く狭かった。





世界を構成するのは家族と。

幼馴染と。

彼の家族と。

近所の親しい人たちだけ。





成長するにつれ世界は広がる。

幼いままの狭い世界で生き。

幼さゆえの

純粋さを持ち続けられる人など

そういない。





何より今の彼は

あの幼い頃の約束なんて

きっと覚えていない。




 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ