最果てで見る夢
□決定付けられた未来
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「香乃、何か疲れてる?」
「あー・・・
うん、ちょっとね」
机の上に頬を押し付けて
だらりと項垂れていると
友人が声をかけてきた。
「大丈夫?」と聞かれて
曖昧に笑って誤魔化す。
私が疲れているわけは
聞かないでね、友よ。
『決定付けられた未来』
「じゃあ
今日も香乃さん
家に泊まりますんで」
『 』
「あ、はい、大丈夫ですよ。
遅刻せんように
俺が起こしますから」
『 』
「解りました。
それじゃあ失礼します」
受話器を置き
侑士が振り返る。
振り帰った侑士は
にっこりと満面の笑みだ。
あの笑顔は嫌だ。
何で
「娘に帰るように伝えて下さい」って
言ってくれなかったのさ
お母さん。
「今日も
香乃の外泊許可下りたで?」
「年頃の娘を
狼の住処に外泊させるなんて
何て母親だよ・・・」
「狼て酷いで、自分。
こんな優しい彼氏に向って」
じりじりと
迫り来る侑士を見据えながら
その動きに合わせて距離を取る。
何故か
私の母親は侑士を気に入っていて
尚且つ信用しているらしい。
さっきだってきっと
「侑士くんの家なら大丈夫ね」とか
言ってくれちゃったりしやがったんだ。
大丈夫じゃないよ、お母さん!
私
いつ妊娠させられるか
解らないよっ!
「どこが優しいのよ!
毎日毎日毎日毎日
ヤられる私の身になりなさいよ!」
「最後には香乃かて
『気持ち良い』とか
『もっとして』とか言うやんか」
「ぎゃー!
言うな馬鹿っ!」
「それにな
香乃のお母さんも
『早く孫の顔が見たい』て言うてはるし」
「は?」