最果てで見る夢

□厄介な恋
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俺のクラスには

仁王先輩の彼女がいる。





それまで興味の対象外というか

特別目立つ奴じゃなかったから

気にもしていなかったけど。

同じクラスというだけで

話したことも無い大人しい女子。





多分

男友達なんて

いないんじゃないかと思う。





大人しすぎて

なに話したら良いか分かんねぇし

話したいとも思ったことはないけど。





仁王先輩が

これまで付き合ってきた女とは

全く違う外見や性格に。

最初はコイツ

遊ばれてんじゃねぇかとか。

からかわれてんじゃねぇかと思って

同情した。





話したことはなくても

悪い奴じゃねぇと思うし。

先輩も

遊びなら遊びと

割り切って付き合える女を選べば良いのに。

なんて思っていたけれど。










『厄介な恋』










最近

昼休みになると

仁王先輩が俺のクラスにやってくる。





今も

廊下が急に騒がしくなったから

来たんだと思う。





それは勿論

俺に会いに来てるわけじゃない。

俺に会うためだとしたら

嫌すぎる。





毎日毎日

昼休みに仁王先輩が

俺に会いに来るなんて。

それはもう嫌がらせだろう。





「香乃はおるかの?」





ひょっこりと

仁王先輩がドアから顔を覗かせると

教室にいた女子たちから

黄色い悲鳴が上がった。





いやいや

もう慣れろよ。

毎日の恒例に

なりつつあるんだからさ。





多少呆れつつ

教室の中を見渡すと

小林が仁王先輩に歩み寄る。

手には

弁当が入っているらしい手提げ鞄を持っている。





小林が

先輩を見る目はどこか恥ずかしそうで

不覚にも

ちょっと可愛いかもな、とか思った。





絶対

口には出さねぇけど。





口に出したら最後

仁王先輩に

何されるか解ったもんじゃねぇし。





今までだったら

仁王先輩の彼女に手を出す奴がいても

先輩は気にもしてなかった。

それで

付き合ってる女が他の男になびいても

無関心だった。




 
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