最果てで見る夢

□嫉妬と執着
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最近

小林が

俺と話そうと

頑張っとる気がする。





必死に

俺の話に相槌を打ち。

必死に

俺の言葉に

言葉を返そうとしている。





それが

健気というか。

可愛いというか。





まあ言ってしまえば

俺は小林のそんな姿を

嬉しいと思っとる。










『執着と嫉妬』










小林の隣の席になって

そろそろ一ヶ月。

この一ヶ月間で

小林は変わった。





俺を

真っ直ぐ見上げるようになったし。

俺の話に

言葉で返事をしてくれるようになった。





何より

小林が自分から

俺に声をかけてくるようになった。





じゃが

そんな小林の変化に気付いたんは

俺だけじゃない。

クラスの奴らも

俺と話す小林を

最初は遠巻きに眺めとったが。

最近は

俺以外のクラスメートも

小林に話しかけるようになっとった。





さすがに

俺以外の男子と話すんは緊張するんか

頷いたり首を振ったりで応えとるが。





「・・・」





小林が

クラスに打ち解けるのは

ええ事のはず。

孤立する小林を見るより

ずっとええはずじゃ。





それでも

想いを自覚した俺の本心は

面白くない言うとる。





矛盾しとることは

解っとる。





友達が出来たと喜んどる小林を見て

良かったの、と微笑う俺と。

俺が傍に居とるんじゃから

他の奴なんて

要らんじゃろと思う俺。





何なんじゃこの感情。





別に

小林を雁字搦めに

束縛したいんじゃない・・・はず。





第一

俺は小林の

クラスメートであって

彼氏じゃない。





たとえ彼氏であっても

過度に束縛してええなんて

思うとらん。




 
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