短編 T

□この道の先
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俺の言葉に、

香乃の表情が凍りつく。



「……え?」

「聞こえんかったか?」



鳶色の香乃の瞳が、

大きく見開かれる。

信じられない、とでも言うように。

信じたくない、と祈るように。



「別れてくれんか?って言うたんじゃけど」










『この道の先』










誰もおらん屋上。

まあ、それも当然か。

今は授業中じゃからのう。

吹きつける風が、少し冷たい。
 
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