短編 T
□この腕に甘えて
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ぎゅっと
縋りついて来る細い腕。
香乃が自分から
こんな風に俺に抱きついて来る時は
決まって何かあった時じゃ。
じゃから俺は
ただ、香乃を抱きしめ返し
よしよしと、頭を撫でるだけ。
『この腕に甘えて』
香乃を抱きしめたまま、時間だけが流れていく。
普段なら、甘い雰囲気にもなりそうなもんじゃが、
今日はそうはなりそうになかった。
香乃の様子がおかしいと
今日会った時から気付いとった。
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