短編 T

□この腕に甘えて
1ページ/4ページ






ぎゅっと

縋りついて来る細い腕。

香乃が自分から

こんな風に俺に抱きついて来る時は

決まって何かあった時じゃ。

じゃから俺は

ただ、香乃を抱きしめ返し

よしよしと、頭を撫でるだけ。










『この腕に甘えて』










香乃を抱きしめたまま、時間だけが流れていく。

普段なら、甘い雰囲気にもなりそうなもんじゃが、

今日はそうはなりそうになかった。





香乃の様子がおかしいと

今日会った時から気付いとった。
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ