短編 T
□転寝彼氏にご注意を
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『転寝彼氏にご注意を』
夕食を食べ終えて、少し経った頃。
ふとニオくんに視線を向ければ、転寝(うたたね)している姿が目に入った。
ソファの肘掛けに肘を乗せ、顎に手をあて頬杖をついて。
ゆらゆらと揺れる頭。
触れれば柔らかな銀髪も
ゆらゆらふわふわと揺れていた。
長い前髪に隠れている薄茶色の双眸は、
俯いているせいで今は見えないけれど
瞼に隠れているのだろう。
好きだな、と思った。
何年経っても、想いは変わらない。
付き合う前は近寄りがたい印象だったけれど、
彼氏になったニオくんは優しかった。
酷い噂とかもあったけど、
噂は、噂でしかなかった。