短編 U

□Happy Birthday
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「誕生日、か」





ぽつり、呟いた。

部活中の俺の声は、周りの歓声に掻き消えるが。





「小林さん、ですか?」





隣におった柳生には、聞こえとったらしい。





くい、と、眼鏡を押し上げる柳生。

その表情は嬉しげで、何じゃと視線で問いかけてみれば。





「何やら悩んでいるようなので」

「俺が悩んどったら嬉しいんか。親友の言葉とは思えんなり」

「彼女の誕生日をどうお祝いしようかを悩む仁王くんなんて、

 珍しいというか初めて見ましたから」





 
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