短編 U
□bestia
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ニオくんが、
私の頬に大きな手のひらを這わる。
少し困ったような、その表情。
「そんな泣きそうな顔しなさんな」
優しさの滲んだ声で、吐息交じりに囁く声。
でも、私を見下ろす薄茶色の双眸は、
強く、射抜くような。
テニスの試合中に見せる、真剣な表情に似ているけれど。
少し違う。
知らない男の人みたい・・・。
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