短編 U
□迷子─ヒロイン視点─
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「小林先輩?」
聞きなれたその声に、勢いよく振り返る。
見遣った先には、想像通りの銀髪の後輩の姿。
「こんな時間に何ばしよっと?」
見た目は少し怖いこの後輩は、私にだけは何故かとても優しい。
切れ長の薄茶色の双眸は、
驚きと心配が混ざり合っていた。
「迷った」
「・・・女子が出歩く時間とは思えんのじゃが」
「帰るところ」
仁王は小首を傾げて、考える素振りを見せた。
私から少し視線を逸らせて思案している仁王を見る。
染めてる筈なのに、綺麗な髪だなぁとか。