幼なじみに恋をしました
□埋めようのないゼロセンチ
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驚く私を見た幸村くんが
微笑んだ。
「いつまで経っても
仁王が動かないから」
楽しそうに微笑む幸村くんと
彼の言葉の意味が分からず
首を傾げる私。
丸井くんがお礼を言って
C組の教室のドアから
廊下に出たのと同時に
授業開始のチャイムが鳴った。
──・・・おはよう。
あの
久し振りに視線を合わせた
挨拶の後から
仁王くんと私との間にあった
距離が少しずつ変わって。
教科書を貸したあの日から
仁王くんが
声を掛けてくることが多くなった。
今までほとんど
姿を見かけることもなかった幼馴染みは
いつの間にか
近くにいることが多くなった。
そして今も。
先生に、授業で使った地図を
社会科準備室に戻しておくように
頼まれた私の隣を
仁王くんが歩いている。