夢声

□声を聞かせて(第五章)
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二日続いた逢瀬


鈴姫はパタリと狛村邸に
顔を出さなくなった


狛村は文を綴る

突然連絡が途絶えた事

最後の逢瀬の折


自分の欲望を抑えきれず

無理をさせたこと



狛村自身…何が原因で
連絡がとれないのか
思い悩む日々が続く

そんな時に限り
虚の出現が相次ぎ

自宅にもかえれずにいた


久しぶりの帰宅

真っ直ぐ自宅に帰るには
鈴姫の事が気がかりで
狛村は自然と
彼女の自宅前にいた


彼女の、香り

彼女の霊圧

息遣い

狛村の野生のものである
全ての感覚さえも
鈴姫の気配の欠片も
感じる事は出来ない

諦めて

自宅に戻る狛村は
もしやと期待し
藤色の文を探すが…やはり
見当たらない

八方塞がりの狛村がため息をつくと


カタリと
門の下から音がした

身を隠す様に

震える少女が狛村を見上げた

見覚えのある…
鈴姫のお付きの忍がそこにいた


震える少女を

家に通すと


彼女は玄関先のたたきの前から
頑なに家には入らず

「狛村様…
申し訳ありません
わたしの力では園宮様
の怒りを鎮める事は…」



涙を浮かべる忍に

鈴姫に何が起こってる


狛村は忍につめよる
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