夢声

□声を聞かせて(第三章)
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数日前、久方ぶりの外出の時には
夏の名残が確かに感じられたのに


ここ数日で秋に装いを変えていた


暦で言うところの
十五夜の準備を


鈴姫はしていた

夕方に差し掛かる頃


お使いに出していた
忍が
珍しそうに

お嬢様に文を差し出す

「鈴姫様、こちらは…
先だってお見舞い行かれた
朽木家から」
「こちらは…こ、狛村…
ひだ…さ…」

宛名を読むのを諦め

忍は鈴姫に文を渡した


鈴姫は何気なく
狛村の文を胸元に仕舞い

朽木からの手紙を開いた
ルキアからの
先日の御礼文を
読み


忍にも宜しくと書いてありますよ
っと、一声かけると


忍は嬉しそうに

買ってきた
月見だんごを
飾りはじめる


父上がお帰りになられたら
呼ぶようにと

忍に月見の仕度をまかせ

自室に入っていった
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