ユヴォ駄文(短編)

□忘年会やろう・裏編
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※※性描写があります。ご注意ください。





忘年会やろう・裏編








しまったな、二時間にしてもらえばよかった。

コンラッドが行ってしまってからすぐ後悔した。

でも今から二時間後だと執務の時間に影響あるしな。

すぐ下の寝ている(ふりをしている)ヴォルフラムを眺めて、少し見蕩れた後ハッと
気づいて時計を見る。

6時23分。

ぼやぼやしちゃいられない。

ヴォルフラムが身体を洗う時間や部屋の換気も考えると、7時ちょっとすぎまでに終わら
なきゃ。

さっそく、キスを仕掛けて、舌を絡める。

歯茎を舌でなぞり、深いところまで探る。

「……んっ!」

ヴォルフラムが嫌がっているような響きの声を出した。

「……どうしたんだ、ヴォルフラム」

「お前っ、朝からどこまでする気だ?」

「お前が可愛いのが悪いんだからな。覚悟しろよ」

ヴォルフラムには下手に優しく口説くよりも、こういう挑発するような言葉の方が効く。

しかし。

「可愛いのはお前の方だ!」

しまった。可愛い、は禁句だったな。

でも本当のことなんだし。

「見た目の可愛さだけの話じゃないぞ。おれにとってはお前ほど可愛い存在は他にないの。
止めようったって無駄だからな!」

「何言って……!」

これ以上反論されないように口を口で塞ぐ。

ああ、ディープキスだけで酔わせるほどのテクニックがあればいいのに、さすがにおれ
には無理だ。

自分の指先が冷えて冷たくなっているのに気が付いて、これでヴォルフラムの身体に
触れたら冷たい思いをさせてしまうから、自分の息を吹きかけて両手を温めた。

ヴォルフラムがそれを見て手を伸ばしてくる。

「指が冷たいのか? 貸してみろ」

おれの手をその白い手で包み込むと、ヴォルフラムはハア、と息を吹きかけてくれた。

ヴォルフラムの手のその温かさに少し驚く。

「随分と冷たいな」

「お前が温かいんだろ。寒くねえのかよ、こんな恰好で」

いまさらだけど、ヴォルフラムは昨晩のまま、裸でいる。

その滑らかな肌の肩にちょん、と唇を落とす。

「ユーリがいれば寒くはないぞ」

だから、そういうところがたまんなく可愛いんだって。

早く手、温まらないかな。

時間もないのに。

ハア、とまた息をかけてくるヴォルフラムの口元に目が止まった。

「……なあ、舐めてくれた方が早く温まるんじゃねえ?」

「え?」

指をヴォルフラムの唇に押し付ける。

「ん……」

少し戸惑った後、ヴォルフラムはおれの指を口に入れて舌で舐めはじめた。

時々ちらっと見える舌とか一生懸命舐めるのに集中してる顔とかが思った以上に艶っぽい。

口の中がすごく熱くて柔らかくって、これもヴォルフラムの中だなとか、もっと卑猥な
ことも想像してしまう。

どうしようもないほどドキドキしてきて、身体が熱くなって指先の冷たさも気にならなく
なる。

時計を見た。

6時28分。

結構経ってるな。

「ありがと、もういいよ」

その口から指を抜くと、絡んでた舌がおれの指を追いかけるように伸ばされかけたのが
見えた。

すかさずそれを口で塞いで舌と舌を絡める。

そうしながら、ようやく温まった指で胸を探る。

「……んっ、ちょ……、ユーリ……!」

キスの最中で必死に何か言おうとしてるヴォルフラムに、口を少し離して訊く。

「……なに」

「どこまでする気だと……!」

「いいじゃん、もう。ううん、何言われてももう止めるの無理だし」

「なっ、ユーリ!」

往生際が悪いヴォルフラムに、おれはわずかに考えた後、自分のパジャマをあわてて脱いだ。

「ユーリ?」

不思議そうに名前を呼んでくるその身体をぎゅっと抱きしめた。

身体をぴったり密着させる。

「おれ今すっごいドキドキしてるんだけど。わかるだろ?」

「ユーリ……、ああ」

ヴォルフラムがなんともいえない、蕩けそうな表情を見せる。

「……それにこっちもこんなんなってるし」

腰もぐっと強く押し付ける。

「……っ! ユーリ……!」

「お前が欲しくて仕方ないからこうなってるの。お前があまりにも可愛いせいだぞ」

ヴォルフラムが何か言い返そうとしたところ、そのままその首筋に唇を押し付けて舐めあげた。

「ゆ、ん……っ!」

手は温まったはずなのに、ヴォルフラムの肌の方が熱い。

「……ごめん、まだ手、冷たいかな……」

「……う、っ、……ああ、これくらい、平気……だ……」

まだ胸を触りはじめただけなのに、ヴォルフラムは震えて喋りにくそうだ。

なんだか、いつもより敏感じゃないか?

冷え気味の手がかえってよく感じさせてるのかな。

今までに見つけ出したヴォルフラムの感じやすいところを狙ってなぞっていく。

あ!

ハッと気づいて時計を見た。

6時45分!

はじめてから20分も経ってる。

惜しいけど急がないと。

おれはヴォルフラムの股間に手を伸ばした。

「……っ!」

いくらなんでもここを咥えられたらもう抵抗する気にはなれないだろう。

「ん……っ、ユー……リっ……!」

ほら、一気に甘ったるい声になった。

指で胸を弄るのも忘れないようにしながら、そこを舐めあげ唇で締め付ける。

徐々に硬さを持ってくるヴォルフラムの分身に愛しさを覚えながら、煽っていく。

「あ……っ!!」

ヴォルフラムが頂点に上り詰めて、弾ける。

「はぁっ……、はぁ……」

滑らかな頬を手のひらで一度撫でた後、ヴォルフラムの奥に潤滑剤を塗る。

「もう、待てないからっ……! いくぞっ」

「……んん」

まだ息も整っていないヴォルフラムが頷いた。

よかった、ここでまだ反対されたら気が狂うところだった。

ゆっくり侵入して最後まで入ると、息を吐いてふと時計を見る。

6時54分だ。

何とかなりそうだな。

「ユっ、ユーリ!」

「え?」

いきなりヴォルフラムが声を荒げた。

「さっきから……何を時間ばかり、気にしてるんだ! そんなに……時間が気になるの
なら、時計と、仲よくしてろ!」

「いや、だって時間が来たらコンラッド来ちゃうし、さ」

「いつも、行為の最中は、ユーリはぼくだけを見つめていてくれるのに……!」

ヴォルフラムがくしゃっと顔をゆがめた。

やばい、めちゃくちゃ可愛いぞ……!

「ごめん、もう我慢できない!」

感情のままに腰を打ちつける。

「うっ、あっ、あ、あ、あ、ん……!」

ヴォルフラムの表情が悲しそうなものから、悦さそうな甘いものへと変化していく。

その移り変わりがものすごく色っぽかった。

かつてないほど興奮してしまったおれは、自分が達ってもまだどうしても足りなくって
ヴォルフラムのそこから抜けずにいた。

……7時7分。

このまま二回目に行くのはどう考えても無理だ。

でも、これだけで終わるのもどうしても無理っぽい。

「ユーリ。どうしたんだ? 時間が気になってるんじゃなかったのか?」

「気になってるけどさ」

「ふん。やっぱりな。どうせならゆっくりできる時にしてもらいたいものだ」

つん、とヴォルフラムが顔を反らした。

こういうところがたまんないんだって、こいつわかってやってるのか?

「……やっぱ終わるの無理」

「え?」

訊き直してきたヴォルフラムの中からおれは自分のものをそっと引き抜く。

「ん……」

ヴォルフラムの頭を枕にそっと押しつけ、撫でる。

「このままちょっと待ってろよ。寝てろ」

「は? ユーリ?」

おれは急いでパジャマを着込んで、ガウンも上に着る。

「すぐ戻るから」

7時11分、そう言い残して寝室を出る。

執務室に入ると、目当ての人物はそこにいた。

「ギュンター!!」

「おはようございます、陛下。どうなさいましたか、そんなに慌てて」

「おれ、忘年会についてひとつ忘れてたんだけどさ!」

「は? ボーネンカーイでございますか? 何か不備でもございましたか!?」

「それなんだよ。忘年会は普通休みの前夜にやるものなんだよな。言うの忘れててごめん
な!」

「休みの前夜でございますか」

「そう! 忘年会の翌日の今日は本来休みにしないといけないんだよ!」

「え? ええ?」

「だから、今日は休日な! よろしく!!」

「えええ? 陛下ーっ!?」

「明日頑張るから! じゃあな!」

すぐ執務室を出て、寝室へ戻ってきた。

7時20分。

寝室の前で、寝室に入ろうとしているコンラッドを発見して引きとめた。

「コンラッド! かくかく云々で今日は休みだから!! コンラッドも今日はゆっくり
しろよな!」

「………………陛下?」

「そういうわけだから! お小言は明日聞きます! おやすみ!」

「おやすみって……」

「じゃあな! お願い、許してよ!」

そういって強引に扉を閉め、鍵をかけた。

「ちょっと! ユーリ!? ほどほどにしてくださいよ!」

「あんたの弟の可愛さが程々だったらこんな苦労はしてないぞ!」

そう扉の向こうに言ってやった後、一つため息をついて、ベッドに近付いてそっとシーツを
捲った。

「聞こえた? 今日は一日休日になったし、今からゆっくりお前だけに集中するから」

ヴォルフラムはエメラルドの瞳でおれをちょっと見て、また目を閉じ、お前の方が可愛いぞ、
といつもの文句を呟いた。



END

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