ユヴォルユで50のお題

□26 やきもち?
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26 やきもち?







夜中に少し寒くて目を覚ました。

隣を見ると、ヴォルフラムが布団を独り占めしているどころか、その布団を丸めて
抱き枕よろしく抱きついて心地よさそうに寝息を立てていた。

おれはヴォルフの頬をつついて起こさないほどの大きさの声で呟く。

「おれというものがありながら…」

ヴォルフの口真似をする。

「この浮気者め…」

ヴォルフが、ん、と呻きながら寝返りを打って天井を向いた。

「抱きつくならおれにしろよな」

おれはヴォルフから布団を取り上げて広げ、二人平等に温まれるようにかけた。

そうしてもヴォルフはおれと反対側にまた向き直し、布団に抱きつこうとした。

我ながらばかばかしいとは思うのだが、面白くないおれはとうとうヴォルフの反対側に移動した。

広いベッドでよかった、何とかそれでも寝られるほどのスペースはある。

「さあヴォルフ、心置きなく抱きついていいよ」

ところがヴォルフはうーん、と言うと向こう側へ寝返りを打ってしまった。

そしてやはり布団をもそもそと手繰り寄せて抱きつき始めた。

おれはとうとうブチ切れて、そのまま、ヴォルフに背中から腕を回してギュウ、と強く抱きしめた。

「…ん……?…ユ、ユーリ?!」

さすがに寝坊助のヴォルフも一気に目が覚めたらしい。

おれはヴォルフの耳元で、わざと低い声で囁いた。

「おれよりそんなに布団の方がいいかな?」

「な、なんの話だ…?!耳元で喋るな!」

おれがヴォルフの耳にふっと息を吹きかけると、ヴォルフはビク、と身を顰めた。

「もう許さない」

「いったいなんなんだ?」

「おれの腕枕でおれに抱きついて寝てくれなきゃいやだ」

おれはヴォルフのネグリジェの裾を右手でゆっくりと捲った。

ヴォルフがわずかに身を震わせながら、ため息とともに言った。

「夜中に突然起こしたと思ったら、これか?」

「ヴォルフが浮気するから悪いんだろ?」

「ぼくがいつ浮気なんかした?」

「さあね」

とてもじゃないけど認めたくないよ。

ヴォルフが抱いてる掛け布団にやきもちを妬いたなんて。


END

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