HP短編


□本よりも何よりも2
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「見つけた、グレンジャー」



栗色のふわふわとした髪を持つ彼女を見つけて、僕はにやりと嗤った。
僕の声が聞こえたのか、彼女の身体はびくりと動いた。
だが、そこは流石勇敢果敢な獅子寮生。
二度も逃げることは出来ないと、首だけを僕に向けた。



「マルフォイ・・・」



少しの涙を溜めたその瞳は、今までに向けられたとのないものだった。
憎悪でも、敵意でもない。



−−−−混乱している、というのが正しいか



「グレンジャー、鬼ごっこは終わりかい?」



彼女の真意を理解しているくせにこんな聞き方をするのは狡いと思う。
彼女を更に逃げられなくする手段。
負けず嫌いな彼女。
知り得ないことをそのままで終わらすことなど決してしない。
その相手が僕ならば尚更だ。
彼女は、逃げない。
僕も逃がさない。
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