HP短編


□本よりも何よりも
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「はぁ〜〜〜、やっぱここが一番好き」



図書室について出た言葉にハッとなった。
そうだ、勉強より好きなものは図書室で良いではないか。
なんの問題もない。
あとであの二人にそう答えよう。



「あー、スッキリした」



さて今日は、なんの本を読もうかしら。
課題はもう終わっているし、読みたい本を読もう。



「えっと、確かここら辺・・・・・・・げっ」



思わず出てしまった上品とは言えない声。
私の求める本がある当たりに腰掛ける、ある男子生徒の存在。
見間違う筈のないサラサラの(ムカつく)銀色に光る髪。
緑と蛇をモチーフにしたその制服。



「マルフォイ」



寝ているのだろうか、その声は聞こえなかったようだが・・・・
なんっっでこいつがここにいるのよ!!
折角スッキリして好きな本を読んでゆっくりしたかったのに、これではそれも出来そうにない。
諦めて寮に戻ろう。
そう思って向いていた足をクルリともと来た方へと向けた時・・・



「グレンジャー?」

「っ!!」



少し嗄れているその声に呼び止められ、思わず足を止めてしまった。
しまった・・・このまま無視して行ってしまえば良かったのに。
このまま逃げるのは獅子寮のプライドが許さない。
仕方ない。



「何よ」

「僕に何か用でも?」

「どうやったらそんな風に考えられるのよ」

「そこにいるじゃないか」

「えぇ、図書室ですからね。読みたい本を探していたら、残念な事に貴方を探していたことになってしまったのよ」



なんなのだこの男は。
話が全く噛み合わない。
寝ぼけて頭でもおかしくなってしまったのだろうか。
否、噛み合っていたことなど一度もないのだが。





                                         
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