HP短編


□my dear
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「おはよう」
「あら、お寝坊さん」



キッチンへ行くと愛しい愛しい妻。
いくつになっても相変わらず美しい。
見慣れているはずなのに、エプロン姿で料理をする姿は新婚当時と何も変わらない。
そして、この憎まれ口も相変わらずだ。



「何笑っているのよ」
「いや・・・少し昔を思い出していた」
「昔?あぁ、あなたがとんでもなくどうしようもない人間だったって事?」



どうしようもない『男』ではなく、どうしようもない『人間』とは・・・
酷いな、そんなに駄目だったかい?



「嫌かい?」
「昔はね。だってあなた最低だったもの」
「酷いな。今はどうなんだ?」
「あら、聞くの?」



聞きたいさ、何度でも。
君の言葉なら・・・・
いや、辛辣すぎると心が耐えられなくなりそうだから程々が良いが・・・



「好きよ、愛してるわ」



・・・・・。
参ったな。
敵わない。



「・・・・僕もだ」
「ふふ、相変わらず駄目な人ね」
「僕が君に勝てるのは夜だけだからな」
「なっ何を言ってるよ、朝から!!」
「なんなら、今からでも」
「馬鹿なこと言ってないで早く座って頂戴」
「はいはい」



本気だったんだけどな・・・。
まぁ、夜にでも期待しようか。
それにしても・・・
こんな何気ない会話もあの頃はできなかった。
やばいな、今日一日ずっと顔が緩んでいそうだ。



「ハーマイオニー」
「なぁに?」
「愛してるよ」
「・・・っ・・・な、によ、急に」



おや、昔のような反応だ。
可愛いな・・・
つい、苛めたくなる。


取りあえず、今は彼女のご機嫌をとる為に柔らかい唇にキスでも落とそうか。




                                           
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