HP短編


□Je l'ai aimé
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「ルシウス、お前の息子はとても良い教育を受けているようだ」
「有難い仰せにございます、我が君」
「ダンブルドアがいない今、様々なことが容易くなった。お前にもお前の息子にも働いてもらわなければ」
「御意」



ダンブルドア・・・・・・僕が、殺した・・・・

いや、僕は殺してない

殺したのはスネイプ先生だ

でも・・・僕が殺したのと、なんの変わりがあろうか・・・・

あれから日々というもの、父上は僕の功績を自分のことのように周りの死喰い人に話している

僕はそれを聞くたびに吐き気がしていた

父上がその話をするたびに、宙に舞い墜ちてゆく彼の姿が思い出される

彼はあの時、僕を見ていた・・・

あの瞳・・・

僕を憐れむような、心配するような瞳

僕は恐れた

今感じている、この方の前に出るときの恐れとは全く違う意味での恐れを、あの時確かに感じた

何を恐れたかなんて具体的にはわからない

ただ恐ろしかった

あの瞳が・・・

まさか、彼は・・・・



「・・ラコ!ドラコ!!」
「は、はい!」
「我が君がずっとお前をお呼びだ!」
「も、申し訳ありません!」
「何を考えていたのだ!!愚か者!!」



我に返ると顔面蒼白の父上が僕を呼んでいた

僕らしくもない

父上とこの方の前でこんなに物思いに耽るなんて・・・



「よい、ルシウス」
「しかし、我が君・・・」
「よいと言っている、黙れ」
「は・・・」



情けなく首を垂れる父上は僕が尊敬した姿ではなかった

父上、そのような姿は見たくありませんでした

でも、それは僕も、同じか・・・



                                                                 
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