HP短編


□不器用
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「あーあ、また負けたわ」



柔らかそうな頬を膨らませ彼女が言った。
僕は申し訳なさそうに眉を下げたがこれも勝負だ、仕方ない。



「なんでそんなに上手いのよ!!」

「なんでと言われても・・・」

「だっておかしいわ、マルフォイは絶対不器用なはずよ」



目の前に置かれた作品たちを見て彼女は言う。


外を見ると雪が降っていた。
彼女が楽しそうに外で遊ぼうと言ってきたた。
だから、こうして寒い中外に出て雪合戦をしたり(2人で)、雪だるまを作ったり、雪うさぎを作ったり、かまくらを(これは流石に魔法で)作ったりしていた。
そうしたら彼女が、「どっちが上手く雪で何かを作れるか勝負よ!!」と言ったものだから僕はそれに応えて作っただけなのに・・・この言いよう。
しかも、「何か」って、抽象的すぎやしないか・・・。



「そんなに僕は不器用に見えるのか・・・」

「えぇ」



即答・・・。
こう見えて僕は細かい作業が好きなんだ。
だからという訳ではないけれど、薬を調合したりするのも好きだ。
彼女もその点は一緒だと思っていた。
なんと言ったって彼女はホグワーツ一の才女なわけだし。
だけど、彼女の前にある作品を見て僕は思った。


----褒めるのが難しいものも珍しいよな・・・


失礼かもしれないが本心だ。
初めに僕と彼女が作ったものは犬だ。
彼女のも犬だ・・・多分。
「多分」というのは、つまり・・・。
彼女の作った犬は、見事にその耳は左右のバランスが取れていない状態で、どこに目があって口があって鼻があるのかわからない。
という犬、だ・・・・多分。

                                                                                                                        
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