HP短編
□Je l'ai aimé
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僕はこれからどれだけの人を傷つけていくのだろうか・・・
僕の未来はいつの間にか闇にまみれていた
きみのいる場所は、あんなにも光で満ち溢れていたのに・・・
「こちらへおいで、ドラコ。我が君がお待ちだ」
「はい、父上」
もう二度とあの場へ僕が行くことはないだろう
もう二度ときみがいる光輝く場所を見ることもないのだろう・・・
父上の背中が語っている
僕たちはもう戻れないのだと・・・・
生まれ育った場所
こんなに、暗く重たい処だっただろうか
息苦しくて冷たい
この扉はこんなに重たいものだっただろうか
「おや、やっと来たか。待ちくたびれてしまったよ、ルシウス」
柔らかいが冷たい物言いに、冬でもないのに身体全体が冷え切ったようになる
この場は、この方によって完全に征服されている
「お許しを、我が君。我が息子、ドラコを連れてまいりました」
「うむ・・・・ドラコ」
「は、い」
「お前が誇るものはなんだ」
「我が尊い血です。また、貴方様にお仕えできることこそ一番の誉れと存じます」
父上に教えられたと通りに、目を合わせずに淡々と答える
恐ろしい方だ
話しているだけで、この方独特の空気のようなモノが自分に纏わりついた気分になってしまう
まるで、心を探られているような・・・