HP短編


□愛し君
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君の瞳が僕を映す度に、僕は必死で微笑えみそうになる口元を隠さなければならない。
それは、君があまりにも幸せそうに僕に微笑えむから…

幻覚なんかじゃない。
想像なんかじゃない。
君は他の誰でもない、僕に微笑ってくれているんだ…



「くくっ……甘いな…」



僕は周りの視線も気にせずに笑った。
周りの蛇寮生は何事かと目配せ合っている。
気にせず、僕は彼女を見る。



「ちっ…」



ウィーズリー…


僕が見たものは、汚れた口元を彼女に拭いてもらってその顔も真っ赤になっている貧乏赤毛の六男坊。
僕は思わず立ち上がって奴を睨んだ。
それに気付いた彼女は、僕の表情を見て少し困惑したような顔をした。


……はぁ…
解ってるよ、喧嘩はしない。


諦めて僕は大広間を出ていった。
獅子寮の軽蔑の視線を一気に集める。
早々と大広間を出て、寮への道を歩く。
カツカツと廊下に僕の靴音が響く。
ふと、僕の後ろから軽やかな足音が聞こえた。
それは聞き慣れた愛しいもので、僕が今日ずっと見ていたものだった。



「マルフォ…きゃっ!!!」



彼女が先程と同じように僕に微笑えんだ瞬間、僕は彼女を腕の中に閉じ込めた。
                                        
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