HP長編

□プロローグ
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プロローグ





満ち足りたものだったわ。
友達にも夫にも子供にも恵まれて、今では孫だっているわ。
あと少しでひ孫にも会えそうだったけど、残念だわ。
でも、良いのよ。
マグルの両親から生まれた私がこんなに長生きできたんですもの。
マグル出身の私が魔法大臣にまでなれて、屋敷しもべ妖精も今では保護下に置かれるようになって給金だって出るようになったのよ。
純血主義の魔法使いだって今はもう殆ど居なくなってしまったわ。
吃驚でしょう?
戦いの後の死喰い人の残党にはハリーも私も苦労していたけれど。
なんとか終止符を打つ事が出来たの。
もう闇の時代は遠い昔。
私たち三人の役目は終わったわ。
もう良いわね。
後は全て次の世代へと・・・・


「ハーマイオニー・・・・おやすみ。僕もハリーもきっとすぐ会えるよ、きっとね。」


愛しい夫の声を確かに聞いて私は意識の底へ落ちて行った。
幸せだったわ。
今までずっと。
ありがとう。
また、ね。






ハーマイオニー・ジーン・ウィーズリー(旧姓グレンジャー)
魔法界の改革に文字通り命がけで取り組んだ彼女は、享年118歳でこの世を去った。
家族や友人たちは、彼女の遺言通り、彼女の遺体を彼女の実の父母が眠る場所へと葬った。












「父さん、聞こえる?僕だよ、それにみんなもいる。」


あぁ、聞こえているよ。
愛しい私の子。
アステリア、遂に君に会える。
これから行くから待っていてくれよ。
決して楽な人生ではなかった。
学生時代も青年期も常に闇の帝王の影が、私にも私の家族にもちらついていた。
でも、アステリア、君が僕の光になってくれた。
新しく与えられた光にどれだけ感謝をしたか解らない。
きっと君はそれを否定するだろうがね。
スコーピウスも生まれて、本当に幸せだった。
我が子を隠すように育ててきた事には悪いと感じていたが、君は不安な素振りも見せずに子育てを楽しんでいたね。
それが私には本当に嬉しかったんだ。
君のお陰で私たちの子は素晴らしい人間に育ったよ。
素晴らしい友を得て、素晴らしい伴侶、素晴らしい子供。
私に新たな家族を与えてくれた。
君から生まれたあの子がまたしても私に与えてくれたんだ。
感謝しているよ、アステリア。
君は嫌かもしれないが、私は次の世でも君にまた逢いたい。
あぁ・・・幸せだった。
スコーピウス、お前の幸せをずっと祈っているよ。
愛してるよ。


「うん、父さん。父さん・・・っ!・・・僕も、愛してるよ。」


あぁ、ハリーが言っていたな、死は眠るより容易いと。
心地良い。
確かにその通りだ。




ドラコ・ルシウス・マルフォイ
元死喰い人であるが、ハリー・ポッターの窮地を救ったことで免罪となり、監視は付きながらも妻と子と幸せな生活を送った。
享年157歳。
遺体はマルフォイ家が代々眠る場へと葬られた。


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