渚少年の冒険

□出会い
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それはいつもの塾帰り。
俺は普通に信号を待っていた。
一台のトラックが近づいてきて、あまりの光の強さに目をつむった。
そしたら、一瞬で音が消えてあたりが光で包まれた。
肩に下げていたはずの塾鞄も消えている。

「え?え?」

理解できないで、辺りを見回すと足下が消えてなくなった。
ガクンってなって落ちていく。
とにかく、記憶が途切れる前にゴッッという鈍い音がしたのだけは覚えている。

______________

「……」

今俺は、信じられない者を目の当たりにしてる。
後光が射してる金髪美人。
……コスモスだよな?あれ……
わぁー、マジか。
すごい美人さんだなー。
…………!?

「川上渚。ですね?」
「え、ああ。はい。そうです。」

え、何?
名前とか知っちゃってる感じなの?
そうなの?
ディシディア的なところに来ちゃったのか?
ていうか、なにこれ。
もしかして俺、あのトラックに轢かれでもしたのか?
現実では、瀕死なのか?

「混乱していると思います。ですが、ゆっくり説明している時間がもうないのです。
 あなたに『力』を授けましょう。その『力』をどういかせるか、それはあなたの想像力次第です。」
「え?いや、あの。え??」

いや、そんな信じるか信じないかは貴方次第みたいなこと言われても…

「この『力』で彼らを……」

_______________

「っ……痛い……」

なんか目が覚めたら、頭がすごく痛かった。
あの最後に聞いた気がした音は、どうやら頭をぶつけた音だったらしい。
というか……

「ほんとに、トリップしたのか……。」

見たところ……次元城か?
そうか、こんな感じなのか……
……服が変わってる。
俺は、なんでか大きめの全身が隠れるコート?を着ていた。
中の服を覗いて、脱力する。
これは……
ジタンの服の短パンヴァージョンみたいになっとる―――!!
この歳で短パンって!!
俺もう16だよ⁉
あ、でも、ジタンも16か。
じゃなくて!
なんだこれ、あれか?
コスモスさんの趣味か!?
絶対このコートは脱がないようにしよう。

「あ!起きたのか!!」

やっぱりDFFなのかと、あたりを観察していると、後ろから声をかけられた。
この声は、ナンバー5か!
後ろを振り返ると、バッツとおぼしき人が立っていた。

「お前、名前は?あ、俺はバッツな。よろしく!!」

元気よくにっこりと手を差し伸べてきた。
やっぱりバッツだったのか。
DFF決定か。

「俺は、川上……渚です。」

俺も手を伸ばすと、バッツの手にたどり着く前に手を取られ、ブンブンと上下に振られた。
ゲームのまんまだな。
この人……。
さすが20歳児。

「いやー、びっくりしたぜ?いきなり降ってくんだもんなー。」

けらけらと笑うバッツ。
最初に会ったのがバッツでよかった。
話しやすい。

「なあ、渚もコスモスに召還されたのか?」
「はい。たぶん」
「そっかそっか。じゃあさ。俺らと行動するか??」
「俺ら?」
「おお、俺とジタンとスコールって奴と旅してるんだ。アイツら今、川の方で水くんでるからさ。行こうぜ。」

589ってことか。
仲いいもんな、このメンバー。
なかなか良いメンバーと巡り会えたみたいだ。
すぐそこだからと言って、歩き始めた。
俺もあとに続く。

「ああ、そういやこれ。一緒に降ってきたんだけどさ。渚のか?」

そういってバッツが出してきたのは、2、3年前に妹が作ってくれたポシェット。
真っ黒で端っこに白で猫の刺繍がしてある。
多分コスモスが、役に立つ物でも入れてくれてるんだろう。

「ありがとうございます。」
「あー敬語とかなしにしようぜ。」
「え、あ、はい。」

バッツからポシェットを受け取り、中を確認してみる。
・筆記用具・ノート・水筒・タオル・さいふ
……遠足!?
あれ?
奥にまだ何か……
・なぎさくんのBLねたちょう
!?
そうか!!
明日のコミケの用意か!!
まさかのコスモスそのまま持ってきた感じか!!

「どうした?なんかなくなってたのか?」

覗こうとしてくるバッツ。
急いでポシェットの奥にブツを突っ込む。

「いや、何でもない。」
「そうか?なんかあったら言えよ?」

バッツはとてもいい人だった。
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