渚少年の冒険

□出会い
2ページ/2ページ



湖に着くと、ジタンが駆け寄ってきた。

「目、覚めたんだな。俺はジタン。よろしくな。」

満面の笑みで手を伸ばしてくる。

「俺は渚です。よろしく。」

手を握り返すとバッツと同じく、手をブンブン振られた。
似た者どうし……。
そして、バッツと同じく敬語はなしなしと言ってきた。
ゆらゆら動くしっぽがかなり可愛かった。
いつか触りたいなあ。
なんて思っていたら、いつの間にかスコールがいてびっくりした。
わーわー。
スコールってこんなに背ぇ高いのか。
すごーい!
やっぱりかっこいいなスコール!!
ああ、でも可愛い。
ほっぺたフニフニして反応みたい!!
愛し麗しの受けキャラを目の前に、俺のテンションが大変なことになる。
顔がにやけそうでヤバい。
いきなり気持ち悪いやつって思われる!
下唇を強めに咬んでこらえた。

「こいつはスコールな。無口そうに見えるけど、心の中ではおしゃべりなやつだから。」
「よ、よろしく、お願いします。」

にやけそうなの押さえてたら、声が震えてしまった。
はずかしっ!
そっと顔色をうかがってみると、何となく怪訝な顔をしている気がした。
やっぱ気づかれたんだー!
それ以上顔を見てられなくなって、すっと目をそらした。

「それじゃあ、渚の目も覚めたし、目的のもんも手に入ったから聖域に戻るか。」
「…?」
「あぁ、秩序の聖域って言うコスモスの陣地があって、そこに俺たちの住んでる屋敷があるんだ。」
「日が暮れちまう前にとっとと行こうぜ。」

早く皆に渚のこと紹介しないとな!と、バッツに手を引かれて半ば引きずられるように走り出した。

「俺ら以外にはあと7人仲間がいるんだ。ああ、もう、まどろっこしいな。」
「え?」

思いっきり手を引かれて体がういた。
と思ったら

「しっかり掴まっとけよ!!」

バッツの腕の中で……エ、ナニコレ!?
お姫様抱っこって言うやつか!?
女の子ならドッキドキな状態だけど、俺は嬉しくないよ!!
バァァッツ!
どうせなら、後ろを相変わらずの無表情でついてきてるスコールにやれぇぇぇぇ!!

「おいおいバッツ。テンション上がり過ぎだろ。」

あきれ顔で言うジタン。
もっと言ってやってくれ!
俺の大切なものがどんどん失われていってる気がする。
一応男なのに軽々持ち上げられてるとことか。
その前のまどろっこしいって、俺の足が遅いって言うことなのか、とか。

「なんたって、俺は風だぜ☆」
「いや、意味わかんねぇよ。」

そして風の様なスピードのエアダッシュに俺の三半規管は耐えきれず、聖域についた時にはヘロヘロになっていた。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ