小さな世界に囚われた大空の物語

□元・拍手集
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自身を護ってくれる超直感!………とは限らない!
(嫌われ未満)




それはある日の出来事だった。朝早くから綱吉の部屋では2人の大声が響いていた。


「やだぁぁぁぁぁぁぁ!今日は絶っ対に学校へ行くんだぁぁぁぁ!」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!このダメツナが!学校へは行かせねぇゾ!」
「どうして邪魔するんだよ!いつもは学校へ行けって言ってるくせに!」


綱吉は学校へ行こうとしている。だがそれをリボーンが阻止すると言ういつもとは違う光景があった。いつもならリボーンが早く学校へ行けと言うのだが今回ばかりは事情が違うようだ。それと言うのも


「このダメツナが!そんな身体で学校へ行かせる訳ねぇだろ!オメーは39度にも及ぶ風邪を引いているんだゾ!」


そう、綱吉は風邪を引いていた。
朝起きた時、明らかに顔の赤い綱吉にリボーンが心配して熱を測ったところ、風邪を引いている事が分かったのだ。だが何を考えているのか綱吉は平気だと言って制服に着替えようとしていた。それを慌ててリボーンが止めているのだ。


「オメーは大人しくベッドで寝ていればいいんだゾ!」
「何を言っているんだよ!俺は学生なんだから学校へ行くに決まってるだろ!それに俺馬鹿なんだから少しでも学校に行って勉強しなきゃ!」
「フラフラしてるのに授業なんて頭に入る訳ねぇだろ!」
「出来るもん!」
「“もん”じゃねぇ!可愛い事言っても駄目なものは駄目だ!」


何気に生徒である綱吉を可愛いと思っているリボーンのその言葉に、綱吉は気付いていない。それだけ頭が朦朧としているのだが、彼は必死になって学校へ行こうとする。するとそこへ様子を見に来た奈々や居候達がやって来た。


「ツッ君、風邪を引いているんだから学校には行っちゃ駄目よ?」
「そうよ。ママンの言う事は聞きなさい。」
「ツナさん!休む!」
「ツナ兄、風邪は馬鹿に出来ないんだよ?休んだ方がいいよ。」
「ツナは休むんだもんね!それでランボさんと遊べ〜!」
「ランボ駄目!ツナさん、風邪!」


奈々達は心配して言っているがとうの綱吉は断固として譲らない。そうこうするうちに綱吉を迎えに来た獄寺が現れた。


「10代目!獄寺 隼人、お迎えに上がりました!」
「うん!直ぐに着替えるから待っててね!」
「着替えるじゃねぇ!オメーは休むんだゾ!」
「うるさい!俺は学校に行くの!」
「あ、あの、どうかしたのですか?」
「獄寺、ツナは風邪を引いているから今日の学校は休む。オメーだけで行け。」
「なんですって!?それはいけません!10代目、この不詳獄寺 隼人、10代目の看病を致します!」
「看病なんてしなくていいから学校い」
「!?」


最後まで話す事が出来ずに綱吉はフラリと倒れる。ソレを慌てて獄寺が受け止めた。


「わぁ〜!?10代目、大丈夫ですか〜!?」
「ほら見ろ!オメーは大人しく学校を休むんだゾ!」
「コ、コレぐらいの風邪なんて大丈夫だよ。休むなら明日から休むから、今日だけは学校に行かせて!」


何としてでも学校へ行こうとする綱吉。そんな彼に疑問を抱いたリボーンは理由を聞いた。


「ツナ、どうしてそんなに学校へ行きたいんだ?言ってみろ。」
「だって、だって………」
《だって?》


普段の綱吉なら此処で理由は言わない。ソレを言えば学校へ行かせてもらえないと分かっているからだ。だが高熱を出している今の綱吉はソレに気付かなかった。


「だって、今日学校へ行けばボンゴレの同盟してるファミリーの女の子が来るんだよ!その女の子は厚化粧だし香水も大量に付けているけど自分は可愛いとか思ってるブサイクな女の子なんだ!世界は自分の物とかイタイ思考をしてる子なんだ!その子のファミリーは裏の掟を破りまくってるファミリーの子で、その子がボンゴレ10代目の椅子目当てに並中に来て自分から俺に告白するけど、断ったら俺を嵌める気なんだ!そしたら山本と雲雀さんは騙されて暴力振るって俺をボロボロにするけど上手く行けば、俺はボンゴレのボスにならずに済むんだよぉぉぉ!!」
《…………………》
「今日の朝から超直感がそう訴えているんだ!だから何がなんでも今日は学校に行ってその女の子に嵌められないといけないんだよ!そうすれば俺はマフィアのボスにならずに済むんだからぁぁぁ!」
《…………………》


恐るべし超直感!そこまで分かるのか!


リボーン達は無言となった。


「………ツナ、オメーを裏切るのは山本と雲雀だけか?」
「並中の生徒全員だよ!お兄さんは俺を信じてくれるけど、そこは頼んで俺に力を貸してくれるように言えば協力してくれるって超直感が言ってるの!骸達は中立だけどクロームが幻術を使いまくって俺に色々手を貸してくれる!」
「ボンゴレの方はどうだ?」
「9代目やザンザス達は信じてくれるけど古株の幹部達は信じてくれないって言ってる!その古株の幹部達が9代目に訴えて俺はボンゴレから除籍されるって超直感が言ってるの!それで俺を嵌めた女の子が10代目ボスになるけどワガママに育てられた子だから直ぐにボンゴレは潰れるって言ってる!そうなれば俺は自由ななんだ!!」
「………そうか、分かった。」
「分かったなら俺は学校に行くからね!」
「オメーは眠てろ。」
「ぎゃん!」


リボーンは渾身の力で綱吉の頭を蹴り、意識を無理矢理奪った。獄寺が無言で綱吉をベッドへと寝かせる。そして後ろにいる奈々達に向き直った。奈々達の背後には真っ黒なオーラがある。それを確認したリボーンは静かに言った。





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