短編

□AirMail
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「計画性ない奴ー」

今年の4月から親の都合で海外に行ってしまった幼馴染みからのエアメールは俺の誕生日から数日後に届いた。

彼女とは、小・中・高校と同じ学校に進み、高校ではマネージャーとして俺達のサポートを全力でしてくれた。

いつもそばにいるのが当たり前すぎて、今まで気がつかなかった。その存在の大きさに。

割りと行き当たりばったりな性格も、屈託のない笑顔も、たまに見せる泣き顔も、全部、全部、今なら愛しく思える。

離ればなれになった今、そんなことに気づくなんて遅いのかもしれないが。

「幼馴染みって厄介だよなぁ」

水色の便箋をしまおうと封筒の口を開ける。いっそ、俺の気持ちも一緒にしまってしまおうか。

「…ん?」

封を開けたときには気がつかなかったが、封筒の底の方に何か書かれている。それを判読しようと俺は目を細めた。

「あー、“I think about you all the time.”…え?」

小さく書かれたその一文。難しい文ではないから読んだ瞬間に意味は分かった。

「…これ、期待していいのか?」

まるでラブレターみたいじゃないか。浮かれてもいいのだろうか。

一気に熱が顔に集まってくる感覚がした。

「あー、暑い。何だよ、全く」


本当に全く、なんて誕生日プレゼントだ。
開けていた窓からは生温い夜風が入ってきて、俺の額からは一筋汗が流れ落ちた。

‐END‐
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