短編
□こんちきちん
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7月16日、赤司は部活終了後に琥珀にメールを送信し、校門で待っていた。
「赤司くん、ごめんなさい。お待たせっ!」
「いや、大丈…!」
琥珀の声が聞こえ、赤司は顔を上げながら「いや、大丈夫。そこまで待ってはいない」と言おうとしたが、その言葉は途切れた。
目の前にいる琥珀は浴衣姿であった。鉄紺の地に紫陽花の柄入り、そして赤い帯を締めている。
「浴衣…」
「家帰って、お祖母ちゃんに祇園祭行くこと言うたら、『せっかくやし浴衣着ていきおし』って…」
「着付けてもらったんだね」
「…変かな?」
そう言い琥珀は首を傾げた。結わえた髪につけられた飾りが揺れる。
「似合ってるよ」
「ほんまに?良かった」
琥珀ははにかみながら笑った。