誠凛TIMES

□桜咲く
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桜咲き舞い散る4月。私立誠凛高等学校では真新しい制服に身を包んだ新入生が部活勧誘の2年生の群れに捕らえられていた。前になかなか進めず、我慢限界で『ラッセル車持って来い!』と喚いている者もいる。

「どこも気合い入ってるわねぇ。1年生見事に捕まってる」
「そりゃ、今まで俺達しか生徒いなかったわけだし、どこも部員増やすのに必死だろう」
「ま、確かにね」

遠巻きに眺めているのは新聞部副部長である神崎千晶と男子バスケットボール部主将の日向順平だ。
二人とも勧誘でビラ配りや入部希望者の対応をしていたが、他の部員と交代し休憩をとっていた。

「で、バスケ部はどうなんです?主将?」
「まぁ、ボチボチなんじゃねーの」
「有望な新人が入ってくるといいね」

誠凛高校男子バスケ部は昨年度、新設校ながらもインターハイ東京都予選ベスト4という快進撃を見せた。全国まではあともう1歩だった。ここで有望な新人が入ってくれば、さらにインターハイに近づく。

創部から男子バスケ部を追い続けている千晶にとって、新人加入の話題は新たなネタにもなるため興味があった。


「今年も男子バスケ部のご活躍を期待してますよー。取材協力よろしく!」
「おう。じゃ、俺ブース見てくるわ」
「私も自分のとこ戻ろう」

そう言ってお互い別れ、千晶は比較的人通りの少ないルートで戻ろうと一旦校舎裏に入った。校舎の壁にもたれ掛かり、ふう、と一息つく。


日向と、話せた。


ついさっきのこと(ただの世間話なのだが)を思いだすと頬が緩む。
千晶はパチッと両手で頬を軽く叩き、「戻らなきゃ」と歩き出した。


それにしても私の恋の花はいつ咲くのかしら。


そんなことを考えながら。
 

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