モノクロ世界(内容)

□7、すれ違う気持ち
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「…っ…」


誰かに呼ばれた気がして、重たい瞼をこじ開けると、激しい頭痛が襲ってきた。
だが、その痛みが現実なのだと訴えているようであの悪夢から抜け出せたのだとそっと胸をなでおろした。


「よかった!!菜緒さん、大丈夫ですか!?」


ゴズがよかった!!と嬉しそうに声を上げる。
どうやら、もうすでにアクマは全て倒し終わったらしい。
近くで神田がやっと起きたかと呟いて立ち上がる。

痛む頭を押さえながら、ゴズの手を借り、立ち上がるとそこにはアクマたちの残骸が転がっていた。


「…終わったんだ…」


ゴズが隣で小さくハイと答える。






―グルルルッ…―


クロが唸る。

「クロ?」

「っ!!まだいやがる!!」


その次の瞬間、3人が立っていた場所から氷山が突き出してきた。


「ちっ!!」

「ひゃぁあ!!」


神田がゴズを抱えて飛び上がる。


「(なんで!!まさかアクマ!!?)」


菜緒も間一髪で避ける。

着地して、上を見るとアクマが数体浮かんでいた。


「ちっ…レベル2か」


神田の言葉に体中から冷や汗が出てくるのが分かった。


「ぎゃはははっ!!もうボロボロじゃねぇか!!すぐに殺してやるよ!エクソシスト!!」


周りには重度の怪我人とファインダーしかいない…


「…っ(やるしかないじゃんか!!)」


久しぶりに感じたあの“死”の恐怖。
菜緒は弓を構え、浮かんでいるアクマに対して矢を放つ。


「ぎゃあぁあぁ!!」


レベル1のアクマはなんとかそれで倒せたが、あと2体、レベル2が残っている。


「ケケケケ、んじゃ俺はこっちをもらうぜ!!」


そのうち1体が神田とゴズの方へ向かう。

「神田!!ゴズ!!」


何とか神田が攻撃を防ぐが、苦しそうだ。


「余所見するなんてヨユーだな!!」

「クッ…」


すぐに助けに行きたいところだが、こっちのアクマもそうとう手強い。


「もらった!!」


一瞬のスキを付いて、アクマに矢を放つ。


矢は完璧にアクマを仕留めた



……様に見えた。




―パリィン…―


「、氷…?」




砕けたのはアクマではなく、アクマの形をした氷だった。


「菜緒さん!!危ない!!」


ようやく罠だったことに気が付き、後ろを振り返る。

「死ねぇ!!エクソシストォォ!!」
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