モノクロ世界(内容)
□1、どうしてここに・・・?
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目を覚ますとそこは暗い世界だった。
「(ここ、は…??)」
先に意識を取り戻したのは菜緒だった。
「…さっきまで道場にいた、よね…?」
キョロキョロとあたりを見回すと腐敗した建物が真っ先に目に入った。
その建物もほとんどレンガ造りで日本ではないことは分かった。
「…?(何か、ヘン…)」
周りの建物もそうだが、地面やわずかながら生えている草木たちもそうだった。
上手く言葉では言い表せないけど、何かがおかしかった。
「まるで、現実じゃないみたい…」
菜緒の呟きは灰色の空に吸い込まれていった。
「ん…」
後ろから誰かのうめき声が聞こえ、振り返ってみるとその声の正体は美代だった。
「美代ッ!!?」
そこに寝ていたのは確かに美代だったが、なにかがおかしい…
菜緒の感じていた違和感がさらに大きく膨らむ。
「…ふぁ…菜緒?」
寝ぼけているのか美代の焦点が定まっていない。
数回瞬きをすると、美代は目を丸くした。
「菜緒…だよね?なんか、漫画っぽくなってる…?」
「…あ〜、それか…」
菜緒が自分の手を見ながら呟く。
菜緒が感じていた違和感とは、風景や人が漫画のような“絵”になっていたことだった。