うみのおさなご(内容)

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酒場に戻って、店主にレムについて聞いてみるも、思ったより情報は得られなかった。

黒ひげが国を襲った時に、国民を守ってくれたこと。

悪魔の実の能力者で、その腕を買われ襲撃の後海軍に入ったこと。


「国が滅んだと言っても、生活に影響が出ないですんだのはレムのおかげさ」


感謝してもしたりない。


街の人間は口をそろえてそう言った。
だが、誰一人としてレムについて詳しいことは知らないらしく、それ以上の情報を得ることはできなかった。





「っとに、不思議な男だなあいつ。海軍のくせに俺たちを捕まえようとするどころか、こんな情報まで流すなんてよ」


ぴんっとリンの手配書を軽く指ではじく。


「これで、あたしも立派な海賊です!」


眉間に皺を寄せるエースに対して、リンはにこにこと笑っている。


海賊として、自分の首に懸賞金がかけられるなんてとても嬉しいことだし、もしここがモビーなら末娘の活躍に男たちが宴会だと騒ぎ出すころだろう。


「リン、いいか?そりゃ手配書がでるのはすげえことだけどよ、その分危険も増すんだ・・・もし、お前が望むならモビーに帰ってもいいんだぜ?」


自信なさげに吐き出されたその言葉に、リンはぷうとその頬を膨らませる。


「私は帰りませんっ、エース隊長だってエース隊長の弟さんの手配書みて喜んだじゃないですか!どうしてあたしのはダメなんですか・・・ぐすっ」


うっ、と数週間前に弟、ルフィの手配書をみてついリンと一緒にはしゃいだ記憶がよみがえる。
目に見えて落ち込んでしまったリンの姿にエースはあわてて悪かったと謝罪するも、リンは顔を上げてはくれない。


「なあ、悪かったって!ほらこの通りだ!」


しーん


「ぐっ、い、いやあ俺の妹はす、すげえなあ、もう立派な海賊だなあ(棒)」


しーん


「え、えっと、ほら!お祝いに次の島で新しい服を買ってやるよ!!」


しーん


「ア、アクセサリーなんかどうだ!!?」


しーん


「ほら、お前フルーツタルト好きだろ!!?好きなだけ買ってやるよ!!」


「ほんとですかっ!!」


ばっと顔を上げた彼女の満面の笑みでようやくエースは自分が騙されていたことを知る。


「あっ!リン!てめェだましやがったな!!」


「タルト!約束ですよ!!」


声を上げるエースを後目にリンは足取り軽く港へと向かった。





危ないってことはわかってるよ。
ごめんなさい、エース。
でも、あたしは、エースを、家族を守りたい。
どうか夢が夢で終わりますように。






(そういえば、さっき街の人と何を話していたんですか?)
(ん?あぁ、ちょっと弟に伝言をな)
(あたし、ルフィさんに会ってみたいです!)
(そうだな、そのうちきっとどこかで会えるさ)
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