うみのおさなご(内容)

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残されたエースに親父様のところに行くと言って別れ、リンの待つ船長室へと急いだ。
途中、忙しそうに走り回るナースたちとすれ違ったが、いつもより被害は少なかったと聞いてほっと胸をなでおろした。
逆に、貴方が出てくれたおかげで船長が無理をせずにすんだ、とお礼まで言われてしまって、なんとなく恥ずかしかったです。



「リン」


「おにいちゃん!」



扉を開けた瞬間、駆け寄ってきた彼女を抱き上げると怪我はないかと問われたのでこの通りだと返事を返した。



「晴、よくやった」


「親父様」


「娘の初陣の祝だ。何か欲しいもんがあれば言ってみろ」



欲しいものと言われても。
それじゃ、リンに欲しいものはないかと聞いたら、だめだと怒られた。



「おにいちゃんのなんだから、おにいちゃんが言わないとだめなの!」



えー。


特にこれと言って思い浮かばないが、とふと視線を親父様の隣に立っていた船員にむけるとあるものが目に入った。
これなら。



「それじゃ、――・・・」






「ぐららら、いいじゃねぇか」



親父様からの許しも得たのでそのうちドクターにでも頼むとしよう。



「(そのうち、ね)」



さっきのティーチの言葉を考えると、もう時間はない。
ティーチを殺す、のはいただけないよな・・・
それじゃドラムでワポルが失脚することがなくなってしまうし、となると悪魔の実はあきらめるしかないのか。




その日の夜、到着した島でありったけの酒や食べ物がかき集められ、甲板で大宴会が開かれた。
樽を持ち上げて酒を煽っている親父様にナース長のミーシャが怖い顔をして説教をするも、まったく聞く耳を持たない。
そのうちあきらめたのか、ため息をつくと船内へと戻ってしまった。

(彼女たちはこれから酔い止めの薬を作るらしい・・・お疲れ様です)



さて、そんな親父様の近くで、私晴はよっぱらいどもに囲まれていました。
どうやら今回の戦闘でMVPなるものをいただいたらしくべろんべろんのぐでんぐでんになったおっさんどもが酒を片手に絡んできます。


ああ酒臭い。



リンはと言えば一足先にエースの元に避難させた(彼の周りには食べ物しかない)
ただようアルコール臭にこれだけでよっぱらってしまいそうだなんてウソだろ。




「(や、やっと抜け出せた・・・)」


なんとか酔っ払いどもの手から抜け出し、向かったのはエースを筆頭に食べ物をあさる比較的若い集団(ただし、エースは口に肉を加えたまま寝ている)



「おにいちゃん!」



そこにはもちろんリンもいて、こちらに気づいた途端、満面の笑顔で迎えてくれた。



「楽しんでるようで何よりだよ」



周りの盛り上がりにつられていつもよりちょっとテンションが高いリンはにこにこと笑っている。
あの夢のせいで疲れていた彼女にはちょうどいいだろう。


「んご・・・あ?なんだ晴きてたのかよ」


ぱちんと花提灯が割れたと思ったら、目を覚ましたらしいエースがもぐもぐと口を動かし始めた。



「あっちにいたら飲まずによっぱらいそうだ」


「だろうな。あいつら見境ねえから」



そう言うエースの顔はなにか嫌なことでも思い出したようにげんなりとした表情をしていた(あえてそのことには触れないでおこう)




食事を再開したエースの隣でリンと一緒に楽しく食事をしているとふとサッチの姿が見えないことに気が付いた。
さっきまで親父様の隣でみんなに囲まれながらはしゃいでいたのに。







「(・・・まさかな)」


まだ宴会の途中だ。
いくらなんでも早いだろう。

そうは思うも、一度気になると嫌な予感しかしない。




「エース、ちょっと私離れるからリンをよろしく」


「ん?ああ、わかった」


「・・・いいな、リンから目を離さなすなよ」


「お、おう・・・?」
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